2025年5月23日
エコキュートの「長期保証(延長保証)」とは? メーカー保証との違いとその必要性を解説!

日本製電化製品の性能と耐久性には世界的にも高い信頼感が寄せられていますが、機械である以上は故障を避けることは不可能であるといえます。
そのため定期的なメンテナンスや適切な修理が必要となりますが、それはある程度の期間稼働して使用による負荷がかかった状態であることを想定してのことでしょう。
購入した直後においてもなんと壊れてしまうことも皆無ではありません。しかし、その可能性はかなり低くなり、新品状態から数年以内の不備や故障についてはメーカーが無料で交換や修理に応じてくれる「保証」が付けられていることが一般的です。
しかしその期間を超えたのちにこそ故障が起こる可能性は高くなっていくことから、各メーカーとも有料オプションとして「長期保証」あるいは「延長保証」という選択肢を要しています。
本記事ではそんな長期保証(延長保証)について、高効率給湯器の一種である「エコキュート」を例に主要メーカー6社の概要とその必要性について解説します。
各メーカーの保証期間ランキング
エコキュートについてもその他の家電製品や工業製品と同様に、購入から一定期間内に故障や不具合が生じた場合には修理および部品交換などを無料で行うサービスが付帯しています。
いわゆる「メーカー保証」と呼ばれるもので、これはどのメーカーも一律ではなくそれぞれにエコキュートの各ユニットに対して独自の期間を設定しています。
以下は主要なエコキュートメーカー6社のメーカー保証期間を長い順に記載した一覧表です。
各エコキュートメーカーの保証期間一覧表
部位/ メーカー |
本体 | ヒートポンプ ユニット |
貯湯タンク ユニット |
リモコン |
---|---|---|---|---|
東芝 | 5年 | 5年(消耗部品については2年) | 5年(消耗部品については2年) | 5年 |
三菱 | 2年 | 3年(コンプレッサー・熱交換器) | 5年(缶体) | 2年 |
コロナ | 2年 | 3年(コンプレッサー・熱交換器) | 5年(缶体) | – |
パナソニック | 1年 | 3年(冷媒系統) | 5年(水漏れについて) | 1年 |
ダイキン | 1年 | 3年(冷媒系統) | 5年(缶体・水漏れについて) | 1年 |
日立 | 1年 | 3年(冷媒回路) | 5年(缶体) | 1年 |
このようにエコキュートを構成する「本体」「ヒートポンプユニット」「貯湯タンクユニット」「リモコン」の各々について個別に保証期間が設定されており、いずれの社でももっとも長いのは貯湯タンクです。
次いでヒートポンプ、そして本体とリモコンは1年~2年といったところが一般的であることが理解できます。
ただし東芝についてはすべてのユニットに対して5年間という上記メーカー内で最長の保証期間を設定している点は特筆に値するでしょう。
もちろん保証期間の長短が製品としての優劣を示しているわけではありませんが、ユーザーにとっての安心感という意味では大きなアドバンテージであることは確実です。
なぜこのようにメーカー保証期間を設けているかというと、エコキュートをはじめとした製品はさまざまなテストを経てリリースされており、購入直後に故障や不具合が発生することは原則的に前提ではないためです。
しかしながら多様な要因によってエラーが生じる可能性は皆無ではないため、万が一の事態に備えて新品状態から数年の間はメーカーが責任持つという意味でも、無料修理などに対応しています。
買って即座に壊れてしまったとあればメーカーにとっては信用問題であり、社業に直接的な影響をおよぼす重大事態です。そういった意味でもメーカー保証は企業側・ユーザー側の双方にとって重要な安全策として機能しているといえるでしょう。
各メーカーの長期(延長)保証期間と費用一覧
デフォルトで付帯しているメーカー保証期間ですが、それを超えた場合にも長期にわたって保証を受けられる有料サービスも存在します。
長期保証、あるいは延長保証などと呼ばれるもので、各メーカーともに一定期間ごとにいくつかの年数タイプを設定しています。
以下はエコキュートの主要6メーカーが設けている長期(延長)保証の年数と費用の一覧表です。
各エコキュートメーカーの長期(延長)保証期間一覧表
部位/ メーカー |
5年保証/ 費用 |
7年保証/ 費用 |
8年保証/ 費用 |
10年保証/ 費用 |
---|---|---|---|---|
東芝 | – | – | 〇 18,700円 |
〇 26,400円 |
三菱 | 〇 11,880円 |
– | 〇 25,562円 |
〇 31,220円 |
コロナ | 〇 11,880円 |
– | 〇 25,520円 |
〇 31,130円 |
パナソニック | 〇 11,524円 |
– | 〇 25,666円 |
〇 29,700円 |
ダイキン | – | – | – | 〇 30,800円 |
日立 | – | 〇 23,049円 |
– | 〇 31,219円 |
このように、5年・7年・8年・10年といった保証期間の区分がありますが7年を設定しているのは日立のみ、無料のメーカー保証が最長の期間となっている東芝はそれを超える8年と10年、他はいずれも最長で10年という期間は共通しています。
当然ながら保証期間が長くなるほど追加の費用は高くなりますが、各メーカー間の価格差は4000円~7000円程度の開きがあります。
いずれもメーカー保証期間を超えて時が経つほどに修理などのケアが必要となる可能性が高まるため、万が一の備えとしての課金と捉えて申し込むケースが多いといえるでしょう。
実際には長期(延長)保証をオプションとして付けるためには購入時点から定められた期限内に申し込む必要があり、そのリミットや申し込み方法は各メーカーによって異なる点に注意が必要です。
長期(延長)保証が必要な理由とは?
次に、そもそもなぜ長期(延長)保証が必要であるのかについて見ていきましょう。
単純に無料のメーカー保証期間を過ぎても不測の事態に備えられるようにといった意味もありますが、それにはエコキュート自体の耐用年数が大きく関係しています。
各メーカーが示しているエコキュートの寿命は、おおむね10年~15年程度としていることが一般的です。
エコキュートではエアコンと同じく熱交換装置であるヒートポンプを備えていますが、この寿命がおよそ10年とされることから、同等の耐用年数と仮定した場合にもとづいた試算といえます。
エコキュートそのものが登場してまだ20年余りという歴史が新しい部類の家電製品であることから、正確な耐用年数に関するデータは充分に揃っていないといえるでしょう。
実際には20年を超えて現役で稼働しているケースもあるといい、大切に使えば長寿命を実現できる可能性は大いにあります。
しかし経年劣化による不具合やスペック低下、技術開発の進歩による新型モデルの性能向上等々により、確実に旧機種の能力は減速していきます。また、あまりに古いモデルとなると修理の際にパーツを入手できなくなるといったリスクも発生するため、そうした事態を避けるためにも長期(延長)保証が有料で設けられているといえるでしょう。
長期とはいうものの各メーカーともに10年を上限としているのはこれらの理由によるところが大きいと考えられ、したがってさらに加算すれば15年、20年と保証を受けられるわけではありません。
もしメーカー保証の期間を過ぎた後で故障や不具合が発生したら全額を自腹でまかなう必要があり、そうなると新品を買うよりも修理代のほうが高くなってしまうことも珍しくありません。
そうなると新型モデルへの買い替えが最適解となるケースが順当で、それまでの間に安心してエコキュートを使用するためにも保証を付けるのが望ましいといえるでしょう。
製造物責任法(PL法)との関連は?
エコキュートをはじめとした長期(延長)保証について、しばしば製造物責任法(PL法)との関連で捉える文脈を見聞きすることがあります。
しかし製造物責任法とは製品の欠陥や不備が原因で人の生命・身体・財産に被害が生じた場合において、その被害をこうむった人がメーカーに損害賠償を求めることができるというものです。
メーカー保証や長期保証の存在はこの法律の範囲内とも当然のように関わりがありますが、単に製品自体が故障しただけでは製造物責任法による損害賠償請求の対象とはなりにくいでしょう。
例えば故障の現象としてボルトが弾け飛んで人が怪我をしたり家屋のガラス窓が割れたりした場合は、明らかにメーカーの責任です。
そうした事態を避けるためにもこまめなメンテナンスと適切な修理・部品交換が必要であり、稼働年数が長くなればなるほど高まる故障リスクに対応するためにも、長期保証はマストなものといえるでしょう。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではエコキュートの長期保証の必要性について、各メーカーの設定年数や費用を合わせて解説致しました。
無料のメーカー保証期間は当然存在しますが、それを過ぎてからはいっそう故障や不具合が発生する可能性は高まるため、予期せぬ高額修理費や不備による安全リスクを避けるためにも、長期保証はぜひとも申し込んでみたいところです。
関西を本拠地として全国に展開する「エコホーテ」は、エコキュートや太陽光発電、または蓄電池などの住宅設備を扱う専門店です。
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