2025年9月29日
どちらを選ぶ?エコキュートと電気温水器の違いを比較!費用・寿命・電気代など

オール電化住宅は2000年代から普及し始め、とくに新築住宅でその割合が増加しています。オール電化住宅で採用できる給湯器と言えば、電気を使用する電気給湯器が筆頭に挙げられます。エコキュートと電気温水器が電気給湯器に含まれるものの、どちらを選べばいいのか迷っている人も多いのではないでしょうか。そこで、エコキュートと電気温水器の違いについて、7つの観点から徹底比較していきます。これから電気給湯器を導入しようと検討されている方は、参考にしてみてください。
1.エコキュートと電気温水器の違いその1「販売台数・普及率」
環境省の調査によると、令和4年度における使用給湯器の種類は、エコキュートが15.3%、電気温水器が6.8%でした。戸建て住宅に絞ると、エコキュートは25.8%、電気温水器は7.0%です。
エコキュートが販売され始めた2001年までは、電気温水器が主流だったものの、2001年以降は電気温水器からエコキュートへの置き換えが進みました。そして、2025年3月には、エコキュートの累計出荷台数が1,000万台を突破しました。一方で電気温水器は、根強い人気を誇っているものの、出荷台数は減少傾向です。
ただし集合住宅においては、エコキュートの普及率が3.2%に対し、電気温水器は6.4%と、逆転現象が起きています。これは、導入費用が安く故障も少ないため、集合住宅に導入するのに向いているからだと考えられます。
2.エコキュートと電気温水器の違いその2「仕組み」
エコキュートと電気温水器を、それぞれの「仕組み」で比較していきます。
2-1.熱の作り方の比較
電気温水器は、電熱ヒーターで直接水を加熱するので、電気エネルギーの大部分がそのまま熱になります。エコキュートは電気の他にヒートポンプで空気の熱も利用するため、電気温水器と同量のお湯を作るのに必要な電力は、電気温水器の約3分の1です。
2-2.構成の比較
電気温水器は貯湯タンクとヒーターが一体化していて、構造がシンプルです。エコキュートは屋外にヒートポンプユニットを設置して、貯湯タンクユニットとペアで作動します。
3.エコキュートと電気温水器の違いその3「初期費用」
エコキュートまたは電気温水器を導入するのに当たって、それぞれ初期費用はどの程度かかるのでしょうか。
3-1.本体価格の目安
エコキュートは本体価格が工事費込みで約40~70万円、電気温水器は30~40万円程度が目安です。どちらも家族の人数に応じてタンク容量を選ぶ必要があり、大容量になるほど価格も上昇します。
電気温水器は比較的本体価格が安いので、初期投資を抑えたい人向きです。一方でエコキュートは高効率な分、初期費用がやや高めではあるものの、長期的に見れば電気代の安さで回収できるケースが大部分です。
3-2.設置費・配管工事・電気工事の注意点
エコキュートと電気温水器は、どちらも専用ブレーカーや200V配線が必要で、平均10~20万円ほどの電気工事費が発生します。エコキュートはヒートポンプ設置用に屋外スペースが必要で、室外機の設置場所があるか、事前に確かめておくことが重要です。電気温水器は室内設置できるタイプもあり、既存給湯器からの交換などでは、工事費5~10万円程度の簡単な工事で済むケースも多くあります。ただしタンクの容量によっては、床の耐荷重を確認する必要があります。
このようにエコキュートと電気温水器は、それぞれ選ぶ機種や設置環境などによって、必要な工事は同じではありません。見積もりの段階でどのような工事が必要か、いくらかかるのか確認しましょう。
4.エコキュートと電気温水器の違いその4「ランニングコスト(電気代)」
エコキュートか電気温水器かを比較検討する際に、大切なのはランニングコスト(電気代)です。
4-1.年間給湯効率の比較
ランニングコストに大きく関わる、年間給湯効率を見ていきます。年間給湯効率とは、給湯熱量と保温熱量(保温機能がある場合)を1年間の消費電力量で割った数値のことです。年間給湯効率の数値が高いほど、少ない電力で多くのお湯を作ったり保温したりできる、つまり省エネ性能が高いというわけです。
エコキュートの年間給湯効率は、およそ3.0以上を誇ります。つまり投入した電気エネルギーの約3倍のお湯が作れるのです。一方で電気温水器は、電熱ヒーターで直接加熱するため年間給湯効率は、およそ1.0で、投入した電気と同量の熱しか得られません。この差が、年間の電気代に大きく影響します。
4-2.世帯別の電気代シミュレーション
エコキュートは年間給湯効率の高さから、電気温水器と比較して、消費電力は大幅に少なくて済みます。たとえば4人家族で年間約4,000kWhのお湯を使う場合、電気温水器ではほぼ同量を消費するものの、エコキュートなら約1,300 kWhで済みます。差は年間2,700 kWhであり、1 kWh30円で計算すると、約8万円の節約になるのです。
お湯の使用量が少ない単身・2人暮らし世帯では、差額は年間1~2万円程度に縮まることもありますが、それでも長期的にはエコキュートの方が光熱費を抑えられるのは確実でしょう。
4-3.夜間電力プランや太陽光発電・蓄電池との相性
エコキュートと電気温水器はどちらも、単価の安い深夜電力を使ってお湯を沸かす設定にできますが、エコキュートは消費電力量自体が少ないため、さらにお得になります。ただし貯湯式の場合、日中にタンクのお湯が無くなってしまうと、沸き増ししなければならず、この時の電気代は日中の割高な電気代がかかってしまいます。
近年注目されているのが、太陽光発電・蓄電池との併用です。太陽光発電で作り出した電力を蓄電池にためておき、エコキュートや電気温水器に使用すれば、電気の使用量が減らせるのです。
4-4.光熱費を下げる運用ポイント
夜間電力でお湯を沸かす設定にする、タンクの湯温を必要以上に高く設定しないなど、運用次第でさらに電気代が抑えられます。
5.エコキュートと電気温水器の違いその5「寿命・故障やメンテナンス」
エコキュートまたは電気温水器を使い続ける上で、寿命や故障の頻度、メンテナンス性を考慮することも大切です。
5-1.寿命の目安と交換のサイクル
エコキュートの寿命はおよそ10~15年と言われ、ヒートポンプや基盤など主要部品が故障すれば、本体ごと交換が必要なケースもあります。電気温水器の寿命もおよそ10~15年ではあるものの、構造がシンプルなので故障の頻度が低く、修理費用もエコキュートに比べて安価な場合が多いでしょう。
5-2.よくある故障と費用の目安
エコキュートではヒートポンプの不具合や給湯機能のエラーが多く、修理費用は2~8万円ほどかかるケースがあります。電気温水器はヒーターやサーモスタットの故障が多く、修理費用は1~5万円ほどです。
5-3.定期的なメンテナンス・点検の重要性
エコキュートも電気温水器も、定期的にタンクの水抜きや配管の点検などを行うことで、寿命を延ばせます。とくにエコキュートは、ヒートポンプのフィルター清掃と水抜きが推奨されています。
6.エコキュートと電気温水器の違いその6「設置の制約・生活への影響」
エコキュートまたは電気温水器を設置する際の制約や、使い続ける上で生活への影響も比較していきましょう。
6-1.設置スペースと設置条件
エコキュートは、ヒートポンプ・貯湯タンクの2つを屋外に設置しなければならず、その分のスペースが必要です。電気温水器は室内に設置できるため、集合住宅や狭小住宅でも導入しやすい特徴があります。
6-2.運転音と生活への影響
エコキュートはヒートポンプの運転音があるものの、約40dB(図書館内の音程度)でそれほど気になる音ではありません。最近では、静音モデルも増えています。電気温水器はほぼ無音なので、音を気にする必要はありません。
6-3.寒冷地での使用と凍結対策
寒冷地では、エコキュートに凍結防止ヒーターが必要な場合があり、冬季の電気代も増える可能性があります。電気温水器は室内に設置できるため、凍結リスクが低く安心です。
7.エコキュートと電気温水器の違いその7「補助金の有無」
エコキュートは省エネ性能の高い給湯器なので、国や自治体の補助金制度の対象になることが多く、条件を満たせば数万円から十数万円の補助が受けられるケースがあります。一方で、電気温水器は補助金の対象になることはほとんどありません。
8.エコキュートと電気温水器の比較まとめ
ここまで見てきたエコキュート・電気温水器の違いについて、以下の表にまとめました。
比較項目 | エコキュート | 電気温水器 |
---|---|---|
普及率 |
15.3%(戸建て25.8%) 累計出荷1,000万台突破 |
6.8%(戸建て7.0%) 出荷台数は減少傾向 |
仕組み | ヒートポンプ | 電気ヒーターで直接加熱 |
初期費用 | 40~70万円 | 30~40万円 |
ランニングコスト | 電気温水器の約3分の1 (年間3~5万円の節約) |
4人家族・年間給湯量約4,000kWh換算で年間約12~15万円 |
寿命 | 約10~15年 | 約10年~15年 |
設置条件・騒音 | 屋外にスペースが必要、40dB程度の稼働音あり | 屋内に置けて省スペース、騒音もなし |
補助金 | 国・自治体で補助金あり | 基本なし |
近年は省エネ性能の高さとランニングコストの安さから、エコキュートを選ぶ家庭が急増しています。とくに近年は電気料金の高騰が続いているため、電気温水器より年間数万円も節約が期待できるのは、大きなメリットです。補助金制度を活用すれば、初期費用の負担も抑えられます。
9.まとめ
エコキュートと電気温水器は、どちらも電気を使う点では共通しているものの、仕組みやランニングコスト、設置条件などに明確な違いがあります。エコキュートは、ヒートポンプ技術によって、少ない電力でお湯を作れるので電気代の節約効果が高く、補助金制度も利用できます。電気温水器は初期費用が安く、故障しにくいシンプルな構造が魅力です。家族の使用状況や設置環境、望む省エネ性能などを考慮して、最適な1台を選びましょう。
「エコ・ホーテ」は、エコキュート・蓄電池・太陽光発電の専門店です。関西を拠点に、全国に広がる施工ネットワークを活かし、経験豊富なスタッフがスピーディーに対応いたします。商社や販売店、施工店との連携で、機器選びから取り付け工事、アフターフォローまでワンストップでサポートいたします。エコキュートか電気温水器かでお悩みの方も、まずはお気軽にご相談ください。