2025年5月24日
コロナ製エコキュートにはどんな特徴があるの? エコキュートの元祖である企業の無二な機構を徹底解説!

かつてはお湯を沸かすために火を燃やしてその熱を用いることがほぼ唯一の方法でした。
時代は変わり、やがてエネルギー源には灯油やガスも用いられるようになり、やがて電気の熱で沸き上げる技術も開発されました。
しかし昨今の環境保全を主眼とした省エネルギー化の潮流により、化石燃料の使用抑制を通じた温室効果ガス削減や、電力消費量の低減などが推し進められています。
そうした流れは家庭生活でもっとも多くのエネルギーを消費する給湯関連の営みにも波及し、ごく少ない電気エネルギーでお湯をつくることのできる高効率給湯器が開発されました。
その一つが熱交換装置であるヒートポンプの作用で空気中の熱を収集・高温化してお湯を沸き上げることのできる「エコキュート」です。
本記事ではそんなエコキュートを商品化することに成功した世界初の企業である「コロナ」にフォーカスして、その製品の特徴を解説します。
「コロナ」ってどんな企業?
まずは今回フォーカスさせていただく株式会社コロナとは、いったいどんな企業なのでしょうか。
もしかするとこの社名を聞くとストーブなどの暖房機器をイメージする世代の方も多いかもしれません。
コロナは新潟県三条市に本社を置き、灯油ストーブやファンヒーターなどの暖房機器・住宅設備を製造販売する日本の電機メーカーです。
昔ながらの燃料式のストーブやファンヒーターは火力が強く部屋が暖まるまでの時間が短く、特に寒冷地では重宝されていますが、そうした暖房関連に強みのある企業といった印象が強いといえます。
一方ではかつて冷蔵庫等の白物家電を製造していた歴史もあり、加湿器・除湿器・エアコンなど幅広い電化製品を手掛けるオールマイティなメーカーでもあります。
そして冒頭でも少し触れたように、エアコンと同様の熱交換装置であるヒートポンプによって空気中から集めた熱を高温化してお湯を沸き上げる仕組みを持つ、エコキュートを世界で初めて販売した企業です。
2001年にリリースされた最初のエコキュートシリーズの開発は東京電力とデンソーとの共同で行われました。
化石燃料の燃焼熱でもなく、電気が発する熱でもなく、いわば第三の熱源として空気中の熱を用いるという環境にやさしいエコキュートは、2002年の省エネ大賞において経済産業大臣賞を受賞したことからも大きな注目を集めたのです。
コロナが開発したエコキュートの特徴は?
それでは、エコキュートの元祖ともいえるコロナがリリースしている機種の特徴について見ていくことにしましょう。
エコキュートの基本的な設計思想としてはとりもなおさず「省エネ」が挙げられ、結果として環境にも家計にもやさしい給湯器として仕上がっているのがポイントです。
以下はコロナ製エコキュートのなかでも「プレミアムエコキュート」というモデルを例として取り上げ、代表的な9つの特徴を例示しました。
沸き上げの高効率化を実現する装置
エコキュートがお湯を作り出す仕組みはヒートポンプの熱交換作用によるものであることを先に述べましたが、この構造についてもう少し詳しく説明を加えましょう。
ヒートポンプの内部には熱を媒介するための気体である「冷媒」が循環しており、エコキュートはこれに環境配慮型の二酸化炭素を用いている点に大きな特徴があります。
気体は圧縮すると温度が上昇するという性質を利用し、空気中の熱を吸収させた冷媒を加圧して高温化し、その熱を水に伝えていくことによってお湯を得るというのが大まかなシステムです。
冷媒を加圧するための装置をコンプレッサーと呼びますが、コロナ製エコキュートはこの圧縮を効率化する「高効率スクロールコンプロセッサー」という装置を搭載している点に特徴があります。
空気中の熱を集めた冷媒を効率良く加圧することで、小さなエネルギーで十分な熱の発生を可能としています。
つくったお湯の熱をキープすること
エコキュートはヒートポンプでつくったお湯を貯湯タンクユニットに溜めておき、それを必要に応じて設定温度になるよう水で割りながら給湯するという運用法を採用しています。
このことによって瞬間的にお湯を沸かすために多量のエネルギーを消費する事態を避けていますが、貯湯タンクは基本的に屋外に設置するパターンが普通です。
そのため、タンク内のお湯は時間の経過とともに熱が放散してしまうことを避けられません。
そこでコロナは真空断熱材を貯湯タンクユニットに使用してお湯を可能な限り冷めにくくすると同時に、構造部材に「発泡性耐熱AS系樹脂」という特殊な成型断熱材やステンレス管を用いることで保温性と耐久性を向上させることに成功しています。
なお、貯湯タンクはコロナ本社の所在地と同じ新潟県燕三条で生産している国産品である点も大きなポイントです。
古くから優れた技術者が育つモノ作りの街で造られた良質な製品は、安全性と高い保温性能を担保しているといえるでしょう。
お湯を無駄なく使うための7つの温度センサー
効率良くお湯を作り、その熱をなるべく保持できるようになった次の段階として、そのお湯を無駄なく使うことが求められます。
貯湯タンクユニットの中は熱湯で満たされているわけではなく、大きく分けて3層の異なる温度帯となっています。
一番上は高温のお湯、一番下は水、そしてその中間には30℃~50℃程度の中温帯のお湯が位置していることをイメージするとわかりやすいでしょう。
特にこの中間層のお湯を必要に応じて最適に給湯することが効率化につながるポイントですが、コロナではそのコントロールを温度センサーであるサーミスタを合計7つ搭載することによって実現しています。
これにより非常に繊細な温度管理を可能としており、さらなる高効率化を担保する鍵の一つといって過言ではありません。
このように7つもの温度センサーを装備しているのはコロナ社のエコキュートが唯一であり、同社の大きな特徴の一つとなっています。
また、ヒーターを使わずに追い焚きができる「マルチサークル追いだき」という独自機能も熱効率のアップを後押ししており、お湯の温度管理と熱エネルギーの有効利用への強い設計思想が感じられます。
独自のES制御
コロナではお湯を「作る」「溜める」「使う」という行為に関わる技術を「ES(エネルギーサーブ)制御」と総称しています。
具艇的にいうと「お湯の沸き上げ」「省エネ給湯回路」「省エネ保温」に相当する施策であり、前項までに見てきた高効率化の技術と取り組みの全てを指すと言えるでしょう。
電気料金の安い夜間にヒートポンプを稼働させて少ないエネルギーでお湯を沸き上げること、そのお湯の熱エネルギーをできるだけロスはしないこと、そしてそれらを無駄なく最適に使用すること。こうした省エネの基本を徹底的に追求した設計思想が、コロナ製エコキュートの特徴です。
お湯を流すだけで掃除ができる自動洗浄機能
お風呂の配管内は狭くて奥行きがあるため、掃除がなかなか大変です。
しかし放置すると配管内部に汚れがたまったり水に含まれる成分が固着したりして故障の原因になる場合や、衛生面での問題が生じることもあるため、こまめに清掃したいところです。
その点、コロナ製エコキュートでは浴槽の栓を抜いてお湯を流すことによって自動洗浄を可能とする機能が搭載されており、当たり前の動作が清掃を兼ねるという利便性を発揮する点もうれしい特徴の一つです。
耐錆性・耐腐食性の強さ
エコキュートはお湯や水が流れる配管が複雑に張り巡らされた装置であるため、錆や腐食は天敵といえるものです。
そこでコロナでは一部のモデルを除いて貯湯タンク内の配管を従来の銅製からステンレス製に変更し、錆や腐食への強力な抵抗性を実現しました。
こうしたタフネスさはエコキュートの給湯器という性質にとって非常に大きな強みと言えるでしょう。
汚れに強いコーティング処理
エコキュートの貯湯タンクは屋外に設置される場合が多いことは先に述べたとおりで、日光や雨風に晒されるため強い対候性が必要です。
そこでコロナでは貯湯タンクユニットに「汚れんコート」という親水性塗膜を用いたコーティングを施しました。このことによって従来品では約1年で雨の筋による汚れが生じたのに対し、汚れんコートではほとんどダメージが認められませんでした。
屋外にあっても長く美しいままであるという外観上のメリットも特徴的といえるでしょう。
稼働音が静かであること
エコキュートはエアコンと同様のヒートポンプを稼働させることから、その音が問題であると指摘されることがあります。
しかし実際には各メーカーとも騒音と呼べるレベルの音量ではなく、コロナではその静粛性も大きな特長となっています。
たとえば一番ヒートポンプが活発に稼働する冬期で一般的なオフィスと図書館の中間位、中間期ならば図書館内とほぼ同等の音圧レベルです。
このことから、通常であればほぼ気にならないような稼働音であると言えるでしょう。
凍結防止の効率設計
空気中の熱を吸収してお湯を作るエコキュートですが、特に気温の低い時期や地域では凍結してしまう場合があります。
寒冷地での稼働を想定した耐寒仕様のモデルも存在しますが、コロナではタンク内のお湯の熱を使った配管の凍結防止機能を搭載しています。
万が一配管内の水が凍ってしまうと溶かして再び使えるようにするまで多大な労力がかかるため、冬気温が厳しい地域では心強い機能です。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではコロナ製エコキュートの特長について、独自の商品展開や無類の機能性などを踏まえて解説致しました。
徹底的に効率化を追求した省エネ構造や、繊細なお湯のコントロールを実現する独自機能はまさしくエコキュートの元祖社としての面目躍如といえるでしょう。
関西を本拠地として全国に展開する「エコホーテ」は、エコキュートや太陽光発電、または蓄電池などの住宅設備を扱う専門店です。
エコキュートの設置や買い替えなど、関連する設備の施工についてご検討中のことがございましたら、ぜひぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。